【蔓の城】城陽ワイナリー計画 2019 春~6月〈実話〉

この物語は城陽でのワイナリー設立という一大プロジェクトを自ら手がける松本真氏を記者が追い、記者の主観で描いていく現在進行中のストーリーである。

2019年3月。瓶詰めのワインに引き続き、新樽に詰めておいたワインも出来上がった。樽に入れた分、バニラ、バターを思わせる複雑なアロマがプラスされ角も取れて味は良いが、林檎酒の様な個性はほとんど感じられなくなっていた。ワインの完成度としては上がっているのだが、その要素は樽によるものであり、土地の個性が前面に出ていない。どちらを良しとするかは非常に難しいところである。

ワイン造りの難しさ、面白さ。他にも様々なバランスをとりながら進むべき道を決めていかなくてはならない。しかしどの様な選択肢であっても進むべき道は開けてくるに違いない。そう見ている者に思わせる力を、松本氏は持っている。有りのままを表現する彼のワイン同様、ストレートに全力で勝負する松本氏の情熱と行動力に多くの人が惹き付けられるのである。

ALCOスタッフ

気付けば桜の季節になっていた。世間はやれ花見だの平成が終わるだの騒がしい。そんな中、2019年4月12日、保弘氏が息を引き取った。享年73歳。祭壇には共に奮闘したワインのボトルを捧げた。

いつか口にしていた、ワイナリーが出来たら見てみたいという彼の言葉は本心だったに違いない。ワインを語る時、親父は本当に良い顔をしていたな、と思う。その思いを背負ったからにはもう途中で止める事はできない。悲しみの中、覚悟を決めた。

ー5月。今は亡き父の代わりに妻が中心となり、除草作業などの畑仕事を手伝ってくれている。昨年の経験と瀬戸氏のアドバイスから、今年は草刈りやボルドー液の定期散布、除葉作業、誘引作業を徹底する事にした。その分、妻への負担が大きくなるのは避けられない。炎天下で作業する妻の姿に感謝の気持ちが込み上げる。

ブドウはぐんぐん蔓を伸ばし、ここまで成長した。上手くいけば今年は200~300kgほど収穫できるだろう。ワインボトルにして250本程度、昨年の約5倍だ。

さらに6月には農業資格の取得に成功した。本格的に認定されるのは一年後になる様だが、上手くいけば農地の借り入れや買収が可能になる。事業化への道が大きく開けるのである。4年後には例え小さな規模でも必ずワイナリーを造る。夢が一層、現実味を帯びてきた。まだまだ課題は残されているが、剛毅果断で行こう。

やるぞ、親父。

ー松本保弘様のご冥福を心よりお祈り致します。ー

【蔓の城】城陽ワイナリー計画 

  1.  2014 プロジェクト始動~2017
  2.  2018 収穫~醸造
  3.  2018 秋
  4.  2019 春~6月

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