家具は毎日使う日用品。大切な一生ものだからこそ、お客様に寄り添いたい。宇治槇島「平山日用品店」

宇治槇島の「平山日用品店」さんは、無垢の木をメインにしたオリジナル家具やオーダー家具の設計・製作・販売、雑貨の販売などを行っておられるお店です。
(記事の内容は平成31年1月19日時点のものです。)
平山用品店の外観写真

 

場所はこちら

行き方は次のとおり

地図写真1旧24号線「びっくりドンキー 宇治槙島店」の交差点を京都市内方面に向かって左折

地図写真2スーパー「マツモト」の向かい側にお店があります。

平山家具製作所の写真家具は併設の「平山家具製作所」さんで製造されています。

今回はこちらのお店を運営されている平山和彦さん、真喜子さんご夫妻にインタビューさせていただきました。

 

無垢の木の魅力とは

平山夫婦の写真1

ー無垢の木の家具っていいですよね。温かみのある質感が好きな方は多いと思うのですが、ほかにも無垢の木の魅力はありますか?

和彦さん(以下敬称略) 使い込む程に味が出るのが魅力です。実はこの無垢の木のテーブルは以前家で使っていた物なんですけれど、よく見ると子供が小さい頃にフォークでたたいて付けたキズがあるんですよ。子供が付けたキズなんかだと、あえて残しておいても良いと思うんですよね。

ーフォークの跡、何だか可愛いですね!お子さんが大きくなられてからも「こんな時もあったよね」とかお話できそうですね。

真喜子さん(以下敬称略) 色のついていないクリアなオイルで塗装している、というのもありますよね。

和彦 そうそう。うちでは「素材感」を大切にしていて、お客様に「どういった色味が良いですか?」とか「こんな風合いのものもありますよ。」とか、木を色々見ていただきながらお話しています。

素材の写真ー素材そのものを生かしておられるんですね。こちらのダークな色(写真 右手前)も塗装の色ではないんですか?

和彦 そちらも素材そのものの色ですよ。こういった色味は最近けっこう人気です。

ー暗めの色だと表面にキズが付いた時に中の色が出てきそうですが、中まで同じ色だとキズが目立ちにくいんですね。

和彦 そうですね。それから表面に木の板を貼り合わせるのではなく中まで同じ素材なので、変にボロボロにはなりません。家具は日々の生活の中で使うものなので、キズや傷みも「味」として愛着をもって使っていただければ嬉しいです。

ー使えば使うほど愛着がわいてきそうですね。

和彦 キズを付ける事を気にしすぎずに、もうどんどん使っていただきたいです。家具は生活の中で毎日使う物なので、店名にも「日用品店」と付けているんですよ。

ーそうだったんですね!確かに、家具はキズを付けないように恐るおそる使うよりも気軽に使っていきたいです。そう考えると無垢の木ってとても良いですね。

和彦 それから一枚一枚表情が違って個性があるのも無垢の木の魅力ですよ。ちょっと変な木目なんかも面白いと思うんですよね。

ー変わった木目も良いですよね。木の個性を生かした家具は一点ものですし、ますます愛着が湧きそうです。

和彦さんの写真

和彦 修理しながらずっと使い続けられるのも良いですね。キズが付いても水分を含ませると木が少し膨らむので、その後磨きをかけると少し磨くだけでも綺麗になるんですよ。持って来ていただいた家具を修理させていただく事もできますよ。

ー長く使えるのは嬉しいですね。大切な家具が増えると心も豊かになりそうですね。

 

 

「機能から生まれる形」

椅子の写真

ーデザインで大切にされている事は何でしょうか?

真喜子 「機能から生まれる形」を大切にしてデザインしています。「機能を求めた結果、このデザインになるのが必然だった」という意味のあるデザインです。

和彦 私達が作っている物は「作品」ではなく、あくまでも「製品」という風に呼んでいます。

ーそうなんですね。シンプルな中に美しさがあるデザインから「作品」という言葉を思い浮かべていたのですが、機能から生まれた「製品」だったんですね。

真喜子 家具は毎日、そして長い間使っていただく物なので、私は使っている中で何も気になるところが無く、自然に使える様なデザインにしたいんです。椅子に座られた方が快適だという意味で「何も感じない」と言われた事があって、すごく嬉しかったです。

椅子の写真

ー家具でも服でもそうなんですが、いくらデザインが格好良くても、使い心地が良くないと毎日の様に使うのが嫌になってしまう事があります。デザインも素敵な上に使っていて気持ち良いなんて、一番嬉しいです!

和彦 体の研究から背もたれのデザインを決めたりもしているんですよ。姿勢良く座ると体に負担がかかりにくく長時間座っても疲れにくい、なんて人間工学の話になってくるんですけれどね。

真喜子 良かったらこちらの椅子に座ってみて下さい。背もたれがS字に曲がった背骨の凹みにちょうど当たる様に、背もたれを低くデザインしているんですよ。

ーでは。…あ、これは確かに楽ですね!いつまでも座っていられそう。

真喜子 実は浅く座っても楽な様にデザインしているんですよ。

ーあ~、これは良いですね~。深く座ると楽な姿勢に落ち着きますし、浅く座ってもちゃんと背もたれが受け止めてくれますね。

真喜子 体型や好みはあると思うんですけれどね。私自身は仕事中は背筋を伸ばしていたいタイプなので、深く座っています。

ー仕事中や家族団らんなど、シーンによって使い分けられそうですね。

真喜子 リラックスしている時なんかは何気なく椅子のひじ掛けを触る事もあるかもしれないので、こちらの椅子はひじ掛け部分を手ざわり良く丸くしているんですよ。

椅子の写真

ー本当ですね。手に持った感じがすごく滑らかで気持ち良いです。他にも工夫はありますか?

真喜子 テーブルの下に入る様にひじ掛けを短くしています。それから他の椅子もそうですが、座面の部分を手でつかんだ時に嫌な感触がない様に、椅子の裏側も表面にとめ具が出てこない様に工夫しています。

椅子の写真

ー見えない椅子の裏側にまでこだわっておられるんですね!実際に使う場面を色々想定して、ここまで使い手の気持ちを考えてデザインしておられるとは驚きです。

和彦 こんな風に機能を求める中でも、見た目のデザインは自分達の色が付く様に線を整えたりはしていますよ。シンプルですけどね。

ー機能性があるだけでなく美しいですよね。こちらの椅子なんかも素敵ですよね。

椅子の写真和彦 この椅子は体に当たる部分に出っ張りがない様にデザインしています。本来なら段差ができてしまう部分も何とか段差をなくしたんですよ。

ー本当ですね。座面の端も、それに、背もたれの端まで…!

椅子の写真和彦 この椅子もそうなんですが、妻の自由な発想から面白い物が生まれたりします。職人の頭から入るとどうしてもコスト面や生産性などから色々と考えてしまうんですが、「この部分をどうしても平らにしてほしい」なんて言われてそこから考えると、こんな風に新しい物が生まれます。この椅子は業界の方にも「面白い」と言っていただけるんですよ。

ーお二人の化学反応ですね。気兼ねなく色々言い合えるのも、仲の良いご夫婦ならではかもしれませんね。

 

 

日本人の「サイズ」

家具の写真

ーこちらのお店ではオーダーメイドもされていますよね。

和彦 はい。木や椅子張りの生地などを選んでいただくのはもちろん、サイズの調整も行います。椅子に座っていただいて、足の下に板を敷いて調整して体に合うサイズを見つけたり。

ー自分の体にぴったりのサイズの物が出来上がるんですね!

和彦 そうですね。毎日使う物なので体に合った物を長く使っていただければと思います。ご夫婦だと旦那様には良い高さの椅子でも、奥様は実は我慢して使っておられた、という事もあります。日本は戦後、海外から外国サイズの家具が入ってきた歴史があるんですよね。

ーなるほど。

家具の写真

和彦 私達も北欧デザインの雑貨や家具がもともと好きで新婚旅行にまで行った程なんですが、そういった北欧のデザインにも影響を受けて、その中で自分達のエッセンスをプラスし、日本人の体に合うサイズの家具を作っています。

ーそれは嬉しいです!北欧など海外のデザインは人気がありますが、そういったテイストの家具が自分達に合ったサイズだとなおさら好きになりそうです。

平山夫妻の写真

真喜子 そうそう、このテーブルも低めに作っているんですよ。

ー何の違和感もなく使わせていただいていました。…という事は、本当にちょうど良い高さだという事ですね。

珈琲の写真

真喜子 テーブルの高さもオーダーメイドできるんですけど、サイズ感も含めて実際に出来上がった物をお客様に見ていただいた時は私も嬉しい気持ちになります。私自身もデザインした家具が実際のサイズで出来上がった時はやっぱり嬉しいですから、それと同じ体験をお客様もしていただいていると思うと共感します。

ーそうなんですね。オーダーメイドでは家具をお客さんと一緒に作っていらっしゃるという印象ですが、やっぱり気持ちも寄り添っていらっしゃるんですね。

真喜子さんの写真

和彦 自分達だけの定規にならない様、お客様の声はしっかり聞くようにしています。収納などのオーダーメイドも多いのですが、色んな要望をお聞きする中でこちらから提案やアドバイスもさせていただきながら作っていきます。

ー実際に作って下さる方に相談できるので心強いですね。安心してお任せできそうです。

 

仕事は楽しんで

ーこちらの棚はもちろんですが、カップやグラスなどもどれも素敵ですね。こういった雑貨も色々販売されているんですよね。ホームページを拝見したのですが、他にもお洒落な雑貨がたくさんあって楽しいです。

真喜子 店頭に並べていない物もありますが、お店に来て「あれが見たい」と言っていただければ出してきますよ。オリジナル製品、洋物のアンティーク品、日本の物ではデッドストックや作家さんの作品等で、1点ものも多いです。

和彦 雑貨は妻が本当に好きな物だけを集めている感じですね。

ーそれ、いいですね。

平山夫妻の写真

和彦 妻は家具も、オリジナルの物は特に「自分が欲しくないものは作らない」という気概でディテールにまでこだわるので、「もっと詰めてほしい」とミリ単位の調整を求められます。

真喜子 そう言えばデコラティブな額を作りたくて、何度もお願いした事もありました。

和彦 それで出来上がるまでにこんなに試作品が。
試作品の写真

ー「本当に良い物を作りたい」という思いが目に見える様ですね!やっぱりお仕事は楽しいですか?

和彦 楽しいですよ。やりたい事をやっていますしね。もちろん仕事なので大変な事も多いですけれど、お客様に喜んでいただけたり、リピートして下さった時はやっぱり嬉しいですね。それから、イベントなどを通して人の輪が広がるのも嬉しいです。

ーそうなんですね。

和彦 あと、例えば椅子はコスト面や座り心地なども考えなければならないので作るのが比較的難しいのですが、でもだからこそ、面白いんですよね。それからデザイナーさんからの難しい依頼に対応できた時なんかも嬉しいです。

ー難しい事でもむしろ楽しんで取り組んでおられるんですね。難しいと言えば、作るのが難しそうなこちらの椅子が気になっていまして。一瞬でパタパタッと折りたためるのが見ていて気持ち良いですよね。

真喜子 今、特許出願中なんです。

ーすごいですね!しかもとても軽くて持ち運びしやすいですね。ファミリーの方にも喜ばれそう。そう言えばこちらのお店には小さいお子さん用のスペースもありますし、お子さん連れでも気軽に来られますね。

和彦 ぜひ気軽に来ていただければと思います。オーダー家具のご相談はもちろんですが、気楽に雑貨だけ見に来ていただいても良いですし、家具のリメイクなんかもできますよ。

ーリメイクも良いですね。家族が使っていた古い家具をリメイクしてずっと使っていくというのも素敵ですよね。今日お話をうかがって、本当に気に入った物を大切に長~く使っていきたいな、と思いました。本日は色々とお話を聞かせていただき、有難うございました。

室内

【平山日用品店】
住所 京都府宇治市槇島町十八 52-7
電話・FAX 0774-22-3144
営業時間 12:00-17:00
定休日 / 日・祝・不定休
駐車場 3台
公式HPはこちら

小さいお子さん連れでもOKです。
小さいお子さん連れでもOKです。

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