2021年7月5日(月)、世界遺産「平等院」(京都府宇治市宇治蓮華116)で奉納ガラスアート作品「鳳凰の卵」の公開が始まりました。
今回の「平等院奉納プロジェクト」には新型コロナウイルス感染症終息への願いが込められています。
平等院 御住職の宮城俊作氏によると、末法思想が広がりを見せた1052年、世に不安がはびこる中で「次の時代につなげたい」との思いから平等院が開創されました。
現在の不安定な状況も当時とよく似ており、「いま出来る事はないか」と考えられた事がプロジェクトのきっかけとなったそうです。
このようなアート作品の展示というかたちになったのは、開創当時、平等院の美術工芸が最先端のものだったという事を踏まえて「アート、デザイン、工芸の力を何らかの形で表現できないか」と考えられたから。
2052年に平等院が開創一千年を迎える事から、「来る新たな千年に向けた平穏と繁栄の祈り」の意味も込められた作品になっています。
2つの卵が産み落とされた水面には、古来から薬草として重宝され日本人の身体を守ってきた「藍」、最新技術の結集したガラスの素材・工法などが用いられ、「今日までの歴史と受け継がれた技術がコロナ禍を克服し、将来に渡って続いていくことへの願い」が表されています。
作品のコンセプトを作られたのは「フラワー・ロボティクス株式会社」(東京都)代表の松井龍哉氏。
「千年前からこの地に居る鳳凰は、現在のコロナ禍をどのように見、どのように考えているのだろうか。」
「次の千年に向かって鳳凰が私達に与えてくれるメッセージとは、一体どういったものだろうか。」
このようなことを考えた時、「生まれ変わりを象徴する卵を平等院の池に産み落とすのでは」と着想を得られたそうです。
現在は世の中が不安で満ちていると同時に多くの事を学ぶ時でもあり、ここから次の時代へつながる希望もある。
そんな「今」を卵が落ちた瞬間として切り取り、ガラスに封印。
ガラスという素材を選んだのは千年後に伝えたいという思いがあるからだそうです。
そんな「鳳凰の卵」が展示されている平等院ミュージアム鳳翔館では、初代鳳凰(国宝)も拝観できます。
また、作品に使用されている小石丸(日本在来種の希少な蚕)の繭も見る事ができます。
さらに鳳翔館ミュージアムショップでは、本日からオリジナルお菓子「鳳凰の卵」の販売もスタート。茶房の営業再開時にはお茶とセットでの提供も予定されているとのことです。
※写真は茶房での提供時のイメージです。 上に散らされたレモンピールは販売用の物にはありません。
平等院奉納プロジェクト「鳳凰の卵」 概要
期間 2021年7月5日(月)~12月中旬頃
場所 平等院ミュージアム鳳翔館内
主催 平等院奉納プロジェクト実行委員会
作品について 「コロナ禍の世を鎮め次の世を担う為に鳳凰が産んだ卵」「日本人の身体を守ってきた伝統の本藍染絹布」をモチーフとした作品。佐藤昭人氏(国選定の阿波藍製造技術無形文化財保持者)による「蒅藍(すくもあい)」を使用し中西秀典氏(本藍染雅織工房の藍染師)によって作られた本藍染布を、スペシャルアドバイザー近藤康夫氏監修のもと高透過ガラス・光学ガラスを使用した組ガラスで挟み水面を表現。統括コンセプトは松井龍哉氏(美術家)。