京都府・南山城村に新風が!滞在や体験などを楽しめる「ノハナレ」が誕生し、オールインクルーシブで昔から続いてきた村の営みにふれられるツアーが楽しめるようになるようです!今回はひと足お先にモニターツターに参加してきたので、その様子をお届けしますね!


村人×トラベル、そして “村人のラベル” を繰るように村の方々の魅力に出会える「むらびとらべる!」プロジェクト。
森本 健次様によると、村での体験を通して、また何度もこの村へ帰ってきたいと感じていただけるようにしたい、とのこと。
そして「これまで村に息づいてきた暮らしを未来へとつなげたい」「そのために農家さんを支える仕組みになれば」との想いもあるようです。
森本様は「道の駅お茶の京都みなみやましろ村」を運営されている「株式会社 南山城」の代表取締役社長。
道の駅には村特産のお茶を使用したスイーツなど、さまざまな村の魅力が「モノ」として並び人気を集めています。

そして今回はこういった商品の背景にあるお茶の生産、村でずっと続いてきた人々の暮らしなどといった「コト」に焦点を当て、さまざまな体験の準備を進められています。

今回は現在考えておられる色んな内容を1日に盛り込んだ “ダイジェスト” として、さまざまな体験をさせていただきました。
(実際はフリータイムもあり、ゆっくり、のんびりと村や周辺地域を楽しめるようです。)
まず向かったのは、森本様が「おばあちゃん」と呼び親しまれている仲西 幸子様(元お茶農家さん)のご自宅。
現在は娘・ちかよ様がともに暮らし、支えておられます。
「おばあちゃんはこの土地に伝わる食事や暮らしなどについて、いろいろ教えて下さったんですよ」と森本様。
たとえば「佃煮を炊いたからおいで」とか「戦時中に物が無いときは、こんなものを食べてね」とか…
時には古い農作業の道具を見せてもらったり、囲炉裏で五平餅を焼いて食べる、なんて体験も。

そんな素敵なお話をお聞きしながら、車にゆられて到着しました!
自然に囲まれたロケーション、築約130年の建物、お庭から見渡せる広い畑…
そして優しい笑顔の幸子様とちかよ様に出会えて、思わず顔がほころびます。
お家に上がらせていただくと、初めて訪れたのにどこか懐かしく、ほっとする感じがしました。
そして…

こちらで採れた食材を使った、自家製のおやつや佃煮、ジュースにお茶。
お家の畑を食卓の上に集めたような素敵な光景に、思わず「わぁ…」とため息がもれます。
一口ひと口をしみじみ味わう幸せなひととき。
「村の方は、普段からこういったものを召し上がっているんだなあ。」
心の中でどんどん豊かさがふくらんでいくのを感じます。
幸子様のお話もいろいろお聞きできて、厚かましくも、いつしか親戚のお家に遊びに来たかのような気分になっていました。
最終的には実家に帰るように「また遊びに来たい」と思ってほしい、と森本様。
そんな人の温もりが、暮らしの中の豊かさが、村にはあふれているんです!
そして、茶どころの暮らしの奥深さや面白さ。
森本様によると、村では田植えをお茶の時期よりも前に終わらせるために、通常よりも早い時期に行われるそうです。
「おばあちゃんに聞いたんですけれど、田植えをするにも、田起こしをする力を付けるために餅つきをして、男の人たちに食べさせたそうですよ。」
そんなお話を聞くと、ますますこの村が好きになります!
そして次に会いに行く村人の方は、原木しいたけを栽培されている「キノコノ山田」の山田 一貴様。
森本様によると、茶どころの南山城村では春~秋ごろまでお茶の生産を行い、手の空く冬場にはしいたけを栽培する、といった感じで一年中生業(なりわい)が続けられてきたそうです。
お茶としいたけの栽培が、そんなに相性が良かったとは!
(道の駅でも流れている「南山城村音頭」の歌詞にも、しいたけが「おらが村での土の産」の1つとして登場します。訪れた際はぜひ聞いてみて下さいね!)
…さてさて、山の中をくねくねと走り到着です。

原木しいたけが栽培されている現場を訪れたのは初めてで、見るものすべてが新鮮でした。
ここでは山田様に栽培方法や実際に栽培されている中でのやりがいや大変さなど、色んなお話をお聞かせいただきました。
すると「1か月くらい木を休ませてから再び刺激を与えると、またしいたけが出る」などなど知らないことがとっても沢山!(写真右上が木を休ませている状態)
道の駅にも並ぶ美味しい原木しいたけは、こんな感じで育つのか…と気づけば興味津々です。
それから「自然の中での栽培にはなかなか思い通りにならない難しさがあるけれど、その中でアイデアを駆使して毎日継続していく」とのお話に、(しいたけ栽培に限らず)昔から自然と共存してきた村人の皆さんの暮らしを想像しました。
「村の暮らし」と聞くと「のどか」「農業」「自然」などほのぼのとしたイメージが浮かびますが、もちろん大変なことも少なくないはず。
そのような中で人々の知恵や工夫とともに紡がれ、受け継がれてきた、さまざまな村のストーリー。
そんな文化の厚みを感じたり、「来てみないと分からないことだらけだなあ」なんて思ったり。
そして分かった気になっても、きっとまだ分かっていないことだらけ。
でもだからこそ面白い!
もっと、もっと、知りたくなる!
…そしてこちらでは実際に、原木しいたけの収穫体験も!(上の写真左下)
しいたけは後で「ノハナレ」を訪れた際にいただいたのですが、すごく香りが良くて、力強い食感や後ひく旨味なども楽しめて、生命力を感じました!

それから次に会いに行くのは、「辻本製茶工場」の辻本 豊様。
※「つじ」は一点しんにょう
それにしても毎回思うのですが、「う~ん…絶対に道、覚えられない!」
でも実はこれがミソ。
森本様によると、案内されないと行けないような場所だからこそ価値があり、また案内があるからこそ、きめ細やかで丁寧な体験を楽しんでいただける、とのこと。
本当にそうだなあ、と実感します!

そして辿り着いたのは、なんとも見晴らしが良くて気持ちの良い場所。
心地よい風に吹かれながら、「こんなにも自然豊かな環境でお茶が作られているんだなあ」と肌で感じることができました。
こちらでまず体験させていただいたのは、茶畑でのお茶摘み。
この一葉一葉が美味しいお茶になるのかと思うと、思わず茶葉に「ありがとう」と声をかけたくなってきます。
普段何も考えずにお茶を飲んでいることが、なんだかとても勿体ないことのように感じました。
そんなお茶摘みの後は…

軽トラでお茶会!?
お茶の生産者さんならではのすごい発想に心が踊ります!
そしてこの素晴らしいロケーションでお茶のテイスティングをさせていただけるということで、贅沢な気分に包まれます。

なんと「辻本製茶工場」の商品の目玉となっているのは、京都では珍しい深蒸し茶だそう!
被覆を用いて栽培された宇治茶の深蒸し煎茶。
氷出しのお茶をいただいてみると、とっても美味しい!
豊かな旨味が口に残り、飲み終わった後もしばらく余韻が続きます。
そしてお湯で淹れていただくと…すごく良い香り!
また違った美味しさで、お茶の世界に引き込まれました。
辻本様によると、渋味などが少ない深蒸し茶は子どもさんでも飲みやすいそうで、「若い方にもっとお茶を飲んでいただき、需要を増やしたい」との想いもあるそうです。
他にもお茶についていろいろ教えていただき、とても濃厚な時間となりました。
そんな辻本様は、なんと小学校6年生の頃から跡継ぎの夢を抱いておられたそうです。
大変なこともある中で、「努力が評価に結びつくお茶づくりはやりがいがある」とお話しされていたのが忘れられません。
こうやって生産者さんのことを知ると、また道の駅を訪れたときに「あ、あの方の商品だ!」と思わず手に取りたくなりそうです。
そして飲んでただ「美味しい」だけでなく、村の方との会話や美しい景色を思い出して、心がとっても満たされそう。
1つの体験がそこで終わるのではなく、これからも続いていく自分だけのストーリーになるんですね!
村を訪れる度にどんどん体験や思い出が積み重なって、特別で大事な場所ができる。
それって素敵なことだと思いませんか?

そんな体験を紡ぐ拠点となるのが、こちらの「ノハナレ」です!
クラウドファンディングを活用し、古民家を改修。
スタイリッシュな空間に、思わず「ここが自分の “はなれ” だったなら!」とワクワクします。

「ノハナレ」では、「中窪製茶園」の中窪 良太朗様による体験などをさせていただきました!
まずは美味しいウェルカム紅茶をいただきます。
ふわりと広がるお茶の香りに、穏やかな気分に包まれました。
とても風味豊かで、心の底から癒されます!
宇治茶といえば煎茶や抹茶などを思い浮かべる方も多いかもしれませんが、特に近年では和紅茶が話題に上がることも多くなってきました。
同じ茶葉でも不発酵茶は緑茶に、そして発酵茶は紅茶になるのが面白い!
そしてもちろん、同じ紅茶の中でもさまざまな味や香りが楽しめて、飽きることがありません。
ではでは…

お次は紅茶作りの体験です!
中窪様によると、紅茶作りには大きく4つの工程があるそうです。
2つ目の工程に当たる茶葉を揉み込む作業は、味を大きく左右するのだとか。
紅茶の世界も奥深そう!
いろいろ教えていただいて、紅茶への興味が深まりました。
(品種によって合う料理が異なるなど、ワインとの共通点も!)

そして品種の飲み比べ。
じっくり味わうと…味や香りの広がり方など、それぞれに個性があって想像以上に面白い!
人によって好みが分かれるのも楽しいし、そこから会話も広がります。
気づけば部屋中に参加者の皆さんの笑い声が満ちていました。

さらにはお茶の歴史などについても教えていただき、「はるか昔から続いてきた国内外のお茶の文化が、未来にはどう変化していくのかな?」「その中で和紅茶はどんな役割を担うのかな?」など、考えはじめるとワクワクが止まりません。
というのも、和紅茶がもつ可能性の広がりを五感で体験させていただけたから!
まさか過去、現在、未来にまで思いを巡らせることになるとは思いませんでしたが、それだけ色んなことを鮮明に感じ、考えることができたツアーでした。
他にも先ほどの原木しいたけをいただいたり、皆さんと歓談するなど打ち解けた時間を楽しませていただいて…当たり前の結論。
やっぱり “人” だ!
そんな人の魅力であふれた南山城村は、自然豊かで空気もおいしく、山城地域の方でもきっと旅行気分が味わえると思います。
さらに伊賀(三重県)・奈良(奈良県)・甲賀(滋賀県)とも接していて、国内外からの旅行者の方がスポット巡りを楽しむのにもぴったり。
なんといっても心が溶けていくようなノスタルジックな雰囲気に、のんびりとした空気感。
そして人の笑顔と温もりにあふれた、京都でたったひとつの村です。

一棟貸しで宿泊できる「ノハナレ」は、自宅でも仕事場でもない第三の場所としてもぴったりな場所になりそうです。
さらに飲食店舗としての営業も予定されていて、気軽に地元の食文化にふれることもできそう。
「ノハナレ」のオープンと今後の展開がすごく、すごく楽しみです!
