昭和初期、京都府城陽市の寺田駅前に「鴻巣館(こうのすかん)」という映画館があったのをご存知でしょうか。
城陽市歴史民俗資料館(京都府城陽市寺田今堀1)で現在行われているJOYOエコミュージアム・令和2年度冬季特別展「心ときめく映画の世界」で、「鴻巣館」前で記念撮影された写真などを見る事ができます。
昭和4年10月、寺田村敬老会の発会式の後に「鴻巣館」館主が敬老会員を招待観覧した記録が残っている為、その頃にはすでに存在したと考えられています。
記録によると、館主は北尾石松氏。市職員の方によると、場所については最近、地域の方々から「現在の観光協会の辺りだった」という証言が得られたそうです。昭和6年の「村道認定調書」にも「活動常設館」の記録が残っています。
また、昭和10年の記録によると、どうやら寺田駅前の「活動小屋」(鴻巣館)は昭和9年の第一室戸台風の時になくなってしまったようで、当時の寺田村に常設映画館が存在したのは5年程度の短い期間だったのではないかと推定されます。
長く存在しなかったため詳しい記録が少ない幻の映画館ですが、それだけにロマンを掻き立てられます。90年ほど前のお話。今はご高齢になられた人々の記憶の中で、現在も静かに生き続けているのではないでしょうか。