伝統工芸の未来をつくる。2020年2月27日~28日、「ホテル カンラ京都」で第3回目の“DIALOGUE”が開催されました。【ニュース / 京都府】

2020年2月27日(木)~28日(金)、「hotel kanra kyoto / ホテル カンラ京都」(京都市下京区)で第3回目となるKyoto Crafts Exhibition “DIALOGUE”が開催された。今年はコロナウィルス対策のため一般入場枠の開催は無かったものの、会場ではバイヤー達が驚きと感動に目を輝かせていた。

ダイアローグ入口の画像“DIALOGUE”は伝統を背景にもつ日本の工芸品を集めた展示販売会だ。訪れた人々はホテルの各客室等で作品や作り手と出会い、直接の対話(ダイアローグ)を通してものづくりの背景や想いなどに触れる事ができる。キーワードは「工芸を“未来志向”のものづくりへ」。27日に訪れたところ、未来への挑戦を感じる作品の数々が各々の部屋に並んでいた。

上仲正茂氏の画像宮本我休氏の画像まずエントランスで迎えてくれたのは、「染工房 正茂」上仲正茂氏による手描友禅と、「宮本工藝」宮本我休氏による仏像彫刻の技術。日々京都で行われている手仕事だが、こういった現場を間近に見られる機会は少ないのではないだろうか。繊細な職人技術にひとしきり感嘆し、上階へと向かう。

“DIALOGUE”は会場がホテルとあって、作品が生活の中でどの様に使われるのかイメージし易い。また部屋によっては客室全体がアーティスティックな場になっていたり、部屋ごとに流れる時間の速さが違っていたりと様々な愉しみ方が出来るのも面白いと感じた。

そして何と言っても、作り手の方とじっくり対話できるのが良かった。質問を投げ掛けると、皆それに対して真摯に熱く語って下さる。職人ならではの技術、商品化への斬新な発想の転換、商品化に辿り着くまでの経緯…それぞれが持つストーリーに、「作品の背景をもっと知りたい」「他の作品も見てみたい」と好奇心を掻き立てられた。

ここからは、そんな魅力的な作品の数々からほんの一部を写真でご覧頂きたい。

Teyneyリバーシの画像協和精工株式会社「Teyney」のリバーシ。真鍮の特徴を活かし、色の経年変化が愉しめる作品となっている。

「つまみかんざし彩野」のアロマディフューザーの画像「つまみかんざし彩野」のアクセサリーの画像つまみ細工の技術を和紙に応用した「つまみかんざし彩野」のアロマディフューザーとアクセサリー。何とメキシコで「死者の日」に被るマスクもつまみ細工で制作されている。現地の方からも好評の様だ。

「詫間宝石彫刻」の水晶工芸の画像「詫間宝石彫刻」の水晶工芸。世界の国々の石を使用し、それぞれの特徴を活かした作品に仕上げている。

株式会社Yence「MOBJE」の画像株式会社Yence「MOBJE」の帽子製造技術を応用したインテリアアート。握るとシワや形状が少し変わるのが特徴で、最後は使う人が手を加える事によって完成する。

小川文子氏の陶芸作品の画像小川文子氏の陶磁器アクセサリーの画像ayako.ceramics 小川文子氏の陶芸作品・陶磁器アクセサリー。かなり小ぶりの壺はそこに置いてあるだけで時空が歪んだような感覚になるが、何とそれも計算のうち。釉薬なども展示されており、工程の一部を垣間見る事が出来た気分だ。

さて、では最後に宇治市に工房を構える「有限会社 南條工房」の部屋を訪れてみよう。ここでは京仏具「おりん」を活かした作品などが観られる様だ。

「有限会社 南條工房」展示の画像―と、部屋に入ると驚きの光景が広がっていた。音と映像が融合し、その中心には堂々とおりんが無言で鎮座していたのだ。(まさかおりんが口を開く訳でも有るまいが、その様は「無言」と形容したくなる、凛とした僧侶の佇まいに見える。)

ぼーん、と南條氏が打ち鳴らすと、重厚感のある音色が圧倒的な存在感をもって場の空気を支配した。円を描く様におりんの縁をなぞると、音はますます広がり大きくなる。ぐわんぐわんとあらゆる方向から語りかけてくる音に、一瞬自分の存在が宇宙のどこかへ飛ばされてしまった様な不思議な感覚に襲われた。

LinNeの画像部屋には佐波理おりんの音色を手軽に楽しめる「LinNe」も並んでいた。そう、南條工房のおりんには佐波理が使用されている。佐波理とは正倉院の宝物にも使用されていた合金で、錫(すず)を限界まで配合している為非常に硬く加工が難しいが、その分美しい音色と余韻が生まれるそうだ。

南條工房のおりんの画像大きな音も小さな音も、おりんの音色が違和感なくBGMに溶け込むのも面白い。さらに部屋中に配された花の装飾により、部屋全体がアーティスティックに調和していた。

南條氏に今回の“DIALOGUE”について伺うと、「ホテルの一室を使って展示できるのも魅力」だと語って下さった。閉ざされた空間だからこそ出来る、映像、花、サウンドを融合させた空間づくり。仏具の枠にとらわれず、見せ方によって違う提案ができるのが面白い。

そんな話になるほど、と深く頷き部屋を後にしようとすると、ふと浴室に目がいった。

有限会社 南條工房おりんの画像何と此処にも驚きの展示があったのだ。浴槽に浮かぶおりんは縁を擦ると水が跳ね、中のアロマが香りを放つ仕掛けになっていた。五感を刺激する体験に「こんな発想もあるのか!」と衝撃を受け、まさに響き続けるおりんのように、この日はいつまでも“DIALOGUE”の余韻が頭から離れなかった。

 

Kyoto Crafts Exhibition “DIALOGUE”(第3回目)

  • 場所 hotel kanra kyoto / ホテル カンラ京都
  • (京都府京都市下京区烏丸通六条下る北町190)
  • 日時 2020年2月27日(木)13:00~20:00/28日(金)11:00~17:00
  • ※今年はコロナウィルスの影響で一般入場は無し
  • HPはこちら

 

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