今回は宇治市観光振興課の鈴尾さんに色々教えていただきながら、学生さん(※)と宇治のまちを巡ってみました!
お茶のまちとして知られる宇治市ですが、実は平安時代の面影もたくさん残っているんです。
珍しい三角形の町並みはなぜ出来た!?
摩訶不思議な伝説も!?
宇治で出逢える「日本最古」に、「世界唯一」!?
そんな「すごい!」「おもしろい!」が次々飛び出すまち巡り。
ぜひあなたも宇治へ足を運んでみては如何でしょうか?
※撮影協力:京都文教大学 地域連携学生プロジェクト 商店街活性化隊 しあわせ工房CanVas
目次
1.駅前の分岐からスタート!
2.伍町通り
3.県通り
4.平等院
5.平等院 多宝塔跡(よりみち公園)
6.喜撰橋
7.宇治十帖モニュメント
8.宇治神社・宇治上神社
9.宇治市源氏物語ミュージアム
10.宇治橋 三の間
11.紫式部像(宇治橋西詰)
12.ゴール地点は橋姫神社!
13.オフショット
駅前の分岐からスタート!
スタート地点は、一見なんの変哲もなさそうな三叉路です。
JR宇治駅のすぐ南東側で、左手の方に駅が見えます。
実はこちら、平安時代の道と中世の道がぶつかっている面白い場所なのだそう!
平安時代の道といえば「碁盤の目」。
じゃあ、大通りと直角に交わる右手の方が平安時代の道?
と思ったら、実は反対。
左の道が「碁盤の目」の名残だそうです!(どういうこと??)
※ちなみにこちらの道の痕跡は駅を超えてさらに続き、宇治郵便局のあたりまで伸びているそうです。
…実は、このあたりは平安時代、東西・南北に道が整備されたものの、後世に楠木正成によってまちが焼かれ、平等院の一部の堂舎を残して焼け野原になってしまったということ。
そして復興した際に、(当時の)宇治橋からそのまま道が真っすぐ続くように、橋と同じ南西方向へ伸びるかたちで宇治橋通りが整備されました。
その宇治橋通りを基準に周辺の道も整備されたので…
「平安時代の道が斜めに見える!」
謎がとけました~!
その結果、宇治には三角形のまちが誕生。
三角形の南西の角あたりは「まちの始まりの場所」ということで「一の坂」と呼ばれるようになったそうです。
とあちゃん:歴史を知るとおもしろい!
きむにぃ:道が昔と分かれていることが驚き
りんごちゃん:時代越えごっこができる
伍町通り
お次は宇治橋通りを通って、妙楽広場のあたりへ。(徒歩約1分半)
すると…
「さっきの道が続いてる!」
さらにその先にも続いていて…
振り返ると、「平安時代からあった道が分かりやすいように」と違う色(ピンクっぽい色)に舗装されてました!
それがこちらの伍町通りです!
ところで当時、一世を風靡した人物といえば藤原道長ですよね!
道長は宇治に別荘(別業)を構えていたので、お付きの人々が滞在するため、このあたりは町のようになっていたそうです。
そして息子の頼通がその別荘を平等院に改めた後、町は「碁盤の目」に整備されて、伍町通りなどには藤原氏のお屋敷が立ち並んだみたい!
きらびやかな貴族の行列も通ったそうで、なんとも華やか~。
ちなみに平安時代の貴族のお屋敷といえば、池や庭園がある寝殿造ですが…
このあたりを発掘すると、今でもお水がけっこう出てくるそうです!
りんごちゃん:真っすぐな道の秘密を知ることができてよかったです。The “京都のまち”という感じがして好き。わくわくします
とあちゃん:お店やカフェもあって、カフェめぐりが好きな方などにも良いかも
きむにぃ:昔ながらのまちなみ感で、インスタ映えしそう
県通り
今も「碁盤の目」の町並みが残るこのあたり。
平安時代に思いを馳せつつ、伍町通りをまっすぐ歩いて…
県通り(三角形の一辺!)までやって来ました。(徒歩約2分半)
県通りの上(南)の方には、とっても古くからあるまちの鎮守社「縣神社」が!
ちなみに反対側(三角形の角っこ付近)には、縣神社の大きな鳥居が立っています。
お天気の良い日だと、県通りの一番上(三角形の角っこ)から道の延長線上に比叡山が見えるそうですよ!
きむにぃ:お茶のにおいがするお店や、畳のいいにおいがするお店があって鼻がしあわせ
平等院
ではお次は世界遺産の平等院へ!(徒歩約2分)
…平安時代、貴族は仏教を学んでいたそうです。
そして平等院が創建された1052年は、末法初年にあたる年。
仏様の教えが上手に伝わらず、このままでは皆この世で救われない…
それなら極楽浄土で救われたい!
ということで、浄土思想が広まったそうです。
仏教の経典によると、極楽に行けるかどうかは「いかに極楽浄土を具体的にイメージできるか」で決まるということ!
そのため、経典に描かれている極楽の世界をそのまま具現化。
西方極楽浄土(西のかなたに極楽浄土が広がる)の教えに基づいて、鳳凰堂を東向きに建てることで背後から夕日が差し、後ろに極楽浄土の広がりを感じさせる!
そんな建て方の工夫も知って、より一層ありがたみを感じました。
(この日は朝に訪れましたが、朝の光を受けた鳳凰堂もすごく綺麗でしたよ!)
境内には「茶房藤花」もあって、美味しいお茶やお菓子も楽しめます。
りんごちゃん:近くで見ることができてわくわく!中にも入れるみたいなので、機会があったら入ってみたい
きむにぃ:水面に鳳凰堂が映ってて、逆鳳凰堂になっていた
平等院 多宝塔跡(よりみち公園)
そんな平等院の南門から外へ出て、やって来たのは平等院 多宝塔跡(よりみち公園)!(徒歩約1分)
当時、平等院は「極楽浄土を表した場所だなんて、庶民にはとても恐れ多くて近寄りがたい」ということで、「特別な何かがある場所」として人々の想像がどんどん膨らんでいって…
色んな伝説や民間伝承が生まれたみたい!
たとえば塔の近くにあった経蔵には…
「頼通が龍に姿を変えて、昼間は宇治川に住み、夜になると経蔵のまわりを守っているらしい」
「経蔵の中には『源氏物語』の幻の巻『雲隠』や、大江山で討ち取られた酒呑童子の首があるらしい」
そしてすぐ近くには「南泉坊」があり、源隆国(みなもとのたかくに)が住んでいて…
道を行き交う人々から色んな小話を聞き集めた説話集『宇治大納言物語』を書いた!とも言われているようです。
※『宇治大納言物語』は現存しませんが、後の『宇治拾遺物語』など、色んな説話集の大元になったとも言われているそうです。
とあちゃん:塔の歴史は、教科書にあまり書かれていないような内容でおもしろい
りんごちゃん:もっと知りたい、色々見てみたい、という気持ちになった
きむにぃ:よりみち公園の名前が藤原頼通にかけて名付けられてたなら面白い
喜撰橋
そしてお次は、川岸の道を歩いて喜撰橋へ!(徒歩約1分半)
開放感あふれる場所で気持ちいい!
しかも、「道長の時代にはこの辺りに宇治橋が架かっていたのかも」と考えられている場所らしい!
(その後、平等院が出来た後は、宇治橋は平等院の表門に近い下流側へと移されました。)
ってことは…
道長もきっとその橋を渡ってた?
そして、この辺で舟あそびをしてたかも?
想像すると、歴史ロマンがふくらみます!
りんごちゃん:大きな魚がいてビックリ!遠くを見渡せて気持ち良かったです。様々な橋をいっぺんに見ることができるスポット
とあちゃん:川の音も聞こえて、自然の空気感も感じられてリラックスできる
宇治十帖モニュメント
ちなみに宇治川は、貴族の精神世界にも大きな影響を与えていたようです。
平等院を創建した頼通は、「川をはさんで極楽浄土の世界・人の世界の対比を表した」と言われているみたい!
「なるほどなあ~」なんて思いながら、中の島をてくてく歩いて…
朝霧橋を渡って、宇治十帖モニュメントへ!(徒歩約4分)
紫式部による『源氏物語』の最後の十巻は、宇治が主な舞台!
『宇治十帖』と呼ばれています。
物語は光源氏の子や孫の代へと進み、主な舞台も宇治へと移って、悲哀の恋愛ストーリーが展開します。
とあちゃん:作品の舞台と聞いて、興味がわいた
宇治神社・宇治上神社
宇治十帖モニュメントからすぐ後ろを振り返ると、平安時代から残る朝霧通りが通っています。
そして目の前には宇治神社が!
これはお参りするしかない!
ということで、みんなで並んで参拝です。
ご祭神は菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)。
菟道稚郎子は、『宇治十帖』に登場する「八の宮」のイメージに影響を与えた人物だとも言われているそうですよ!
そして宇治神社のすぐ北には、世界遺産の宇治上神社が。
こちらの神社では、平安時代の貴族が暮らしていた寝殿造様式の建物が拝殿になっています!
本殿は、なんと現存する日本最古の神社建築!
平等院の創建に近い1060年ごろに建てられた可能性が大きいようです。
宇治神社・宇治上神社は、平安時代には合わせて「離宮社」のように呼ばれていたそうですよ!
りんごちゃん:宇治神社から宇治上神社へと続けて行くことができるのも魅力の1つ。御朱印がとてもかっこよかった
きむにぃ:うさぎの絵馬などうさぎ好きの人にはたまらない場所!
宇治市源氏物語ミュージアム
続いてこもれびが心地いい、さわらびの道をぶら~り歩いて…「宇治市源氏物語ミュージアム」へ!(徒歩約2分半)
世界で唯一の源氏物語専門ミュージアム。
入った瞬間からワクワクが止まらなくって、展示を見ていくうちに物語の世界へと迷いこむ…
そんな素敵な施設です!
体験コーナーがあったり、オリジナルアニメーションも観ることができて大人も子どもも楽しめそう!
さらに、館内の「雲上茶寮」には美しいパフェや日本茶など…魅力的なメニューがいろいろ!
現在は『宇治十帖』をイメージした和菓子も提供されています。(2024年10月まで)
とあちゃん:「宇治の間」の展示の仕方が面白かった。模型、御簾の見え方(平安時代の垣間見)の体験、スタンプや香り比べなどもあって楽しい
きむにぃ:館内がとてもいいにおいで包まれている!茶寮のアイスがとても美しい!
りんごちゃん:『源氏物語』を知らなくても楽しめる展示が多くあって、何回行っても楽しめます
宇治橋 三の間
そして、いよいよ終盤です。
しばらく歩いて宇治橋の「三の間」へ!(徒歩約7分)
宇治橋が最初に架けられたのは646年とも伝えられています。
記録が残っている中で現在見られる橋としては、日本最古のものみたい!
「三の間」は上流側に張り出した部分で、観光客の方からも人気のフォトスポットになっています。
ここから宇治川上流を眺めると、山あいから川が流れ出ていて、中州があって…
これは平安時代とほとんど変わらない景色なのだそう!
ちなみに反対側を向くと、真正面のあたりに愛宕山、右の端に比叡山…と、京の都を囲む山々も見渡せます。
橋より下流側のあたりにはかつて大きな巨椋池が広がっていて、そこへ向かって宇治川が流れ込んでいたそうですが…
三の間から右側を見ると、「西の方へ流れてる!」と今もその名残が感じられます。(だいぶツウな楽しみ方!)
きむにぃ:昔の人が見ていた景色と同じものが見れるのはエモさがある
とあちゃん:ここから見ると宇治川の大きさが分かって圧巻!橋の形、デザインもかっこいい
紫式部像(宇治橋西詰)
そして宇治橋西詰には紫式部像が!(三の間から徒歩約1分)
言わずと知れた『源氏物語』の作者!(かわいい。)
こちらも人気のフォトスポットです。
3人もいい感じでポーズを決めてくれました!
りんごちゃん:紫式部と2ショットも撮れる場所
とあちゃん:像のすぐ後ろには、川の方へ下る階段も。松もあって雰囲気が良い
きむにぃ:宇治橋を背景に撮る紫式部像はインスタ映えする
ゴール地点は橋姫神社!
川や橋のある場所は何らかの境目になることが多いので、その境目を守る女神様が祀られていることが多いそう。
以前は三の間にも橋姫が祀られていた可能性があるようです!
ということで…
ふたたび県通りを進んで、近くにある橋姫神社へ!(徒歩約1分半)
『源氏物語』の時代には、「思い人を待つ姫君」として『宇治十帖』(『橋姫』から始まる!)の世界観にも大きな影響を与えた橋姫。
その後、『平家物語』の時代以降は「縁切りの神様」のイメージも持つようになりました。
(思い人を待ち続けた結果、「何故帰ってこないのか!」と川に何日も浸かって鬼になり…追いかけて行く!)
こんな感じで、橋姫に対するイメージは時代が経つにつれて加わってきたみたい!
そう考えると「未来の橋姫や、未来の宇治はどんなイメージになっていくのかな?」なんて想像が広がります!(ワクワク!)
皆さんもぜひ、過去や未来に思いを馳せながらまち巡りを楽しんでみては如何でしょうか?
とあちゃん:縁切り神社と聞いて、少しおどろいた。近くにお店もあったので、少し寄って行くのにちょうど良い場所
きむにぃ:知る人ぞ知る隠れスポット感があってとてもいい!
(徒歩での所要時間は目安です。実際にALCOスタッフが歩いて計りました。)
オフショット
色々見たり、考えたり。
わ、いい香り~。
慎重に…
真剣なまなざしで鈴尾さんの説明を聞く3人。
指差しバージョン。
スタッフも交えてぞろぞろと。
朝霧橋からの景色もきれい!
ほうほう。何か書いてある!
最後に3人の感想を少し!
りんごちゃん:フィールドワークやCanVasの活動を通して知っていたことはあったけれど、今回さらに宇治のまちについて知ることができて良い経験になりました。宇治のまちの歴史を紐解いていっている気がして、とても楽しかったです。友だちや家族に話したくなることが沢山あったので、もう一度家族や友だちと来たいと思いました。
きむにぃ:宇治に住んでいても知らなかったことを沢山知ることができて良かったです。このルートを通ることで宇治についてもよく知ることができるし、宇治が舞台の『宇治十帖』についても知ることができて楽しかったです。
とあちゃん:このあたりに来たのは初めてでしたが、徒歩でもこんなにも沢山の所を回れることを知って、最後まで飽きることなく楽しめました。道沿いにも沢山の看板などがあり、新しい発見ができて良かったです。歴史的なものだけでなく、おしゃれなお店やカフェも所々にあって、また来たいと思いました。
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