2023年3月9日(木)、宇治商工会議所で開催された「インボイス制度対応セミナー」に行ってきました!
※会場・オンラインの同時開催
宇治商工会議所の方によると、最近事業者さんから「インボイス制度、という言葉は聞いた事はあるけれど実際のところはよく分からない」という声などをよく聞かれていたそうです。
(確かに最近、「勉強しないと…」「皆はどうするのかな?」みたいな声をよく聞く気が!)
そこで今回、「インボイス制度について広く知ってもらえれば」との思いからセミナーを開催されることに!
講師の方は中小企業診断士・社会保険労務士として幅広くご活躍されている河合 正尚先生です。(よろしくお願いします!)
セミナーではインボイス制度の概要から実務上のポイントまでを分かりやすく説明していただける、という事で…
気合充分、レッツ・ゴー!
※こちらの記事は宇治商工会議所様の提供です。
会場に到着すると、若い女性の方からご年配の方まで様々な方が集まっておられました!
さらにオンラインでは、会場以上に多くの方が。
これまで実施されてきた様々なセミナーの中でもかなり多くの人数が集まったそうで、インボイス制度への注目度の高さがうかがえます!
さっそくセミナーが始まり、まず先生がお話されたのは「本日の目的」について。
インボイス制度について理解し、対応の準備などができるように、ということでした。
それってまさに皆さんが求めている事ですよね!
そしていきなりインボイス制度の説明?
…と思いきや、その前に「消費税の基本的な仕組み」について。
なるほど、これなら知識ゼロの方でも理解しやすそう!
ちなみに原則として、納めなくてはならない消費税=課税売上げに係る消費税-課税仕入れ等に係る消費税、となります。
このように仕入れ時の消費税を差し引く事を「仕入税額控除」と呼ぶんですよ!
それにしても、実際の金額を例に出して説明していただけるので誰でも簡単にイメージしやすい!
「本で勉強するのと先生の解説付きで表を眺めるのとでは、頭への入ってき方が全然違うなあ~」なんて思いながら聴いていると…
いよいよインボイス制度の解説に!
制度の正式名称は「適格請求書等保存方式」。
う~ん、一見難しそうに見えますが…
分解するとけっこうカンタン。
「適格」な「請求書など」を「保存」する「方式」。
国が求める要件を満たした適格な請求書(=インボイス)を保存する、っていう事なんですよね~。
そしてインボイス制度の導入後は、基本的には「適格請求書(インボイス)に記載された税額だけ」が「納めた消費税」として認められて「仕入税額控除」ができる、という形に変わります。(一定の経過措置があります。)
「仕入税額控除」って何だっけ?という方は、先ほどの「消費税の基本的な仕組み」に戻ってもう一度確認して下さいね!
さてさて、続いてインボイス制度導入の目的や背景などを解説いただき…
お次は気になる今後のスケジュールへ!
インボイス制度が導入されると、消費税を納税しない「免税事業者」の方などから購入した物にかかる消費税は「納めた消費税」として認められなくなります(つまり「仕入税額控除」ができない!)が、次のような経過措置(3年間×2段階)が設けられています。
- 令和5年10月1日 インボイス制度、導入!
- 令和8年10月1日まで 免税事業者等からの課税仕入れのうち、80%は控除可
- 令和11年10月1日まで 免税事業者等からの課税仕入れのうち、50%は控除可
そして、適格請求書(インボイス)を発行するためには「適格請求書発行事業者」としての登録が必要です。
令和5年10月1日から登録を受けるためには本来、令和5年3月31日までに登録申請をしておく必要がありましたが、昨年見直しが行われ、現在は「令和5年9月30日までであれば、困難な事情の記載なしに申請が行われても、令和5年10月1日を登録開始日として登録される」ことになりました。(ただし、登録申請には時間がかかるので注意が必要です。)
このあたりの解説、見やすい表なども付いていたので「保存版として活用される方も多いかもしれないな~」なんて思いました。
そして、登録申請についてのさらに詳細なお話へ!細かいところまで丁寧に説明していただけて、きっとこれまで知識のなかった方も「これまでの不安が解消された!」「実際の様子をイメージしやすい!」なんて感じられたのでは?と思いました。
しかもよくある質問を交えながら説明していただけたので、まさに「かゆい所に手が届く!」といった感じ。皆さん興味津々の様子でしたよ!
それからインボイス制度導入によって「どんな事業者さんがどれくらい影響を受けるのか」とか、「実際はどんな事業者さんがどのくらいいるのか」など全体像も把握できるように、しかも簡単に分かりやすく教えて下さいました。
そしてここで、もう一度おさらい。
適格請求書(インボイス)を発行できるのは、「適格請求書発行事業者」として登録された方だけ!
「免税事業者」の方は発行できません。
つまり、「免税事業者」の方から仕入れた物にかかる消費税は、原則「仕入税額控除」ができない、ということに!
手元の配布資料には所どころ空欄があり、大事なポイントを書き込んでいく事ができます。
実務的な具体例もあって分かりやすい!
周りを見ると、皆さん「ふむふむ…」とペンを走らせたり、先生のお話に熱心に聞き入っておられる様子。
こんな感じで時々大事なポイントを違う角度からも再確認する事ができて、「学んだ内容が頭の中により定着していきそう!」と思いました。(こういうのって嬉しいですよね~!)
それから…
「免税事業者」でいると実際にどんな事が起こる可能性があるのか?
「免税事業者」の方と取引をされている事業者さんは、今後どうしていこうと考えておられるのか?
「免税事業者」の皆さんは「課税事業者」になる予定があるのか?
などなど…円グラフで実際のパーセンテージを見たりしながら色んなお話を聞く事ができました。
これまで「周りの皆はどうするんだろう?」なんて疑問に思っていた方にとっても、「良い情報が聞けた!」とスッキリされたのではないでしょうか。
さらに、業種によってはこんな例もあるよ、という実社会の中でのお話も聴けて、「へえ~!」「なるほど!」「確かに!」と思う場面があったり、大切な法律のお話もありました。
もちろん「課税事業者」になるとどうなる?というお話も!大きく分けると次の3つです。
- 消費税の納税義務が発生する
- 消費税の申告が必要になる
- 適格請求書(インボイス)の発行が必要になる
そしてやはりと言うべきか…
「事務負担が増えること」を懸念されている方が多いみたい!(そうですよねえ~。)
また、「課税事業者」になったら消費税をいくらくらい納めなければならないのか?という疑問をお持ちの方も多いと思います。
そこで、簡易課税での(事業区分ごとの「みなし仕入率」を用いた)概算方法についても説明がありました。
事業者さんにとっては簡単にご自身のケースに当てはめられるので、「これからどうしようかな?」と考える際の大きな判断材料になりそうですよね!
さてさて、ここまでざっくりと理解したところで、いったん休憩。
後半はより詳しいお話に!
たとえば請求書等の記載例や、実際に起こり得る事務手続きなど。
「そもそも適格請求書(インボイス)の内容ってどんな感じなの?」と思われる方もいらっしゃると思いますが、これまでの請求書等の内容に加えて次の3点を明記する必要があります。
- 「適格請求書発行事業者」の登録番号
- 適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額等
そして、「適格返還請求書」や「適格簡易請求書」についてなど…特にこのあたりの用語は「初めて聞いた!」という方も多いかもしれませんが、いざという時に何も知らないと慌てる事になるかもしれません。
そんな大事なお話もあれば、手書きの領収書例もレジュメにのっていて、「実際に事業者さんの役に立ちそうだな~!」と思いました。(これを見ながら書けばOK!)
ほかにも実際の端数処理の仕方、納品書について、委託販売等の場合など色んなお話があり、見落としがちだけれど注意するべきポイントなんかも教えていただきましたよ!
そしてお次は、「買い手側の対応」について!
「仕入税額控除」のためには、基本的には必要事項を満たした帳簿+適格請求書(インボイス)の保存が必要になります。
では…
口座振替や引き落としの場合はどうすれば良い?
帳簿の保存のみで「仕入税額控除」ができるのはどんな時?
従業員の方への日当、旅費、通勤手当などはどうすれば良い?
ETCの利用時は?
などなど、色んなお話がありました。
特に「社員さんとモメないように、あらかじめ社内ルールなどをしっかり決めて共有しておかないといけない」という内容は、雇用主の方にとっては「事前の準備が大切なのか…」と心に刺さったかもしれませんね!
簡易課税などについては、先ほども出てきた「みなし仕入率」を活用した経理によって「事務負担がどのくらい楽になるのか」という事などについて、分かりやすい解説がありました。
簡易課税ができるのは「基準期間の課税売上高が5千万円以下」で、「簡易課税の届け出をした」事業者さんのみ。
簡易課税では1件1件について取引先が「免税事業者」の方か、「課税事業者」の方か…などと考える必要はありません。
事務処理のボリューム感が大きく変わってくる事を考えると、とても大事なお話だと思いました。
ただ、事業者さんによっては「消費税の納税額が増える場合がある」とか、1度簡易課税を選択すると「2年間は変えられない」なんて事も考慮しながら慎重に判断しなくてはいけません。
…と、こんな風に考える事はたくさん有りますが、今回配布のレジュメには、最後の方に「やることチェックリスト」も付いていてとっても便利!
事業者の皆さんが頭の中を整理しながら1つずつコマを前に進めていけると良いなあ、と思いました。
今回のセミナーでは他にも特例や補助金などなど多方面からのお話がありましたが、「そっか!何かを決める時ってたくさんの情報をもっておくと良いもんな~」と思ったりもしました。
そして最後にインボイス制度についての質問コーナーがあり、拍手とともにセミナー終了。(ありがとうございました!)
会場で受講されていた方からは「お話を聴けて良かった」「勉強になった」「取引業者からの信用にもつながる話だったのでしっかり聴かないと、と思った」などの声が聞かれました。
中には「まったく知識がなくて放ったらかしになっていたけれど、今回のセミナーを聴いて、今後どうするかの判断をこの時間内にできた」という方も!
Zoomで参加されていた方からは「分かりやすかった」「Zoom受講でも理解度は変わらないと思うので、移動時間がかからず有り難かった」といった声などが聞かれました。
今回はインボイス制度についてのお話でしたが、セミナーを実施された宇治商工会議所の「経営安定特別相談室」では、コロナ禍での打撃をはじめ、経営の立て直しの必要性に直面されている企業さんに経営改善を図るなど、専門家の方による相談支援を行っておられます。
詳しくはこちらをご覧ください。⇒https://www.ujicci.or.jp/01keiei/sodansho/keieiantei.htm
※今回公開の情報は、セミナー開催時の令和5年3月9日時点のものとなります。
インボイス制度についての最新情報は国税庁のURLをご参照ください。
⇒https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/zeimokubetsu/shohi/keigenzeiritsu/invoice.htm
インボイス制度対応セミナー 概要
- 開催日時 2023年3月9日(木)14:00~16:00
- 講師 河合中小企業診断士・社会保険労務士事務所 代表 河合 正尚氏